記憶 ―惑星の黙示録―
グズッと…
唇を噛み締めて。
「――むぅ。『ぎゅぅ』してくんなきゃ…やだッ!オレ、ないちゃうよッ!?」
「あはは…、はいはい。」
よいしょ、と。
あの時より重い君を、ぎゅっと抱き締める。
嬉しそうに笑いながら私を抱き締め返すと、
「ちょーちょ、ズルイよね。オレもいきたい、おつきさま。」
そう言う君に、
私は少し困った顔。
「お月様、大好きね?」
「うんッ!」
分かってるのか、
分かってないのか…
君の記憶の中にも、
今は未だ眠っているんだよ。
だから少しだけ…
ほんの少~しだけ、
ヒントを出してあげる。
「お月様の裏側って、ここからは見えないでしょう?」
「…うん?」
「お月様の裏側にね、お花畑が在るんだよ…?」
「えー、おはなばたけ?…ちょーちょ、そこへいったのッ!?」
……蝶々?
私は少し首を傾げてから、
「…ぁ、そうかも。」
と頷いた。
蝶々は…、
「あの人」かもしれないよね…?
私と新が出逢ったのも、
私と君が、
「約束」したのも…
始まりは、
あの「花畑」――…
それは、
今の君には未だ難しいから、
また、いつか…
秘密の、秘密のお話……