記憶 ―惑星の黙示録―

アランはそう言いながら、
私のベッドから一歩二歩離れ、後ろに首をひねって相槌を求める。

その相槌に答えたのは、
ハルカちゃんの声だった。


「…アランお兄ちゃん、日頃の行いが悪いから、疑われても仕方ないと思う~…」

「…ひどい、ハルカ。」

アランが私から離れる事で、
私の視界も広がり…、
その後ろに位置するテーブルセットに座るハルカちゃんが確認出来た。

…あ。

彼女も居た事に、私の口から安心の溜め息が漏れた。


「…覚えてない?」

アランはそう私に問い掛けながら、自分の左側の頬を指差す。

少し…
ほんのり赤み掛かる頬。


「……ぁ。」

そうだ…
私は昨夜、あの人の頬を平手打ちした気がする。



昨夜…

気の良い住民たちに迎えられた、この街の酒場。
陽気な音楽と、何とも言えない暖かな雰囲気に包まれて…。


「終電の時間」の心配もない。
「危険な人物」もいない。

この世界をよくも知らないくせに、なぜかそう安心して、

……結構、飲んだわね。


そして、
私はこう聞いた。


『洗礼は、ようこそって儀式だって言ってたじゃない?』

『そうだよ?』

同じく、酔ったアランがヘラッとそう答えた。


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