私と彼の関係〜本気の浮気〜


店にはゆったりとした音楽が流れていて、日頃のうっぷんをついつい口に出してしまうのだろう。


満席とはいかないまでも常に誰かがいて。


入ってきた時より穏やかな顔をして帰る。



カウンターから出て、入ってきたお客さんと世間話をしている奈央を横目に、氷で薄くなったXYZを飲みほし、鞄から財布を取り出した。



「もう帰るの?」



注文をもらって帰ってきた奈央にうんと頷くと、清算をして店を出る。



腕時計を見ると1時過ぎ。



「タクシーで帰るか」



すでに終電の時間が過ぎていたので、由紀ちゃんが向かったタクシー乗り場へと足を向けた。


12月の冷たい風が頬をなでる。


首を竦めると、早足で歩きだした。






< 87 / 297 >

この作品をシェア

pagetop