私と彼の関係〜本気の浮気〜
店にはゆったりとした音楽が流れていて、日頃のうっぷんをついつい口に出してしまうのだろう。
満席とはいかないまでも常に誰かがいて。
入ってきた時より穏やかな顔をして帰る。
カウンターから出て、入ってきたお客さんと世間話をしている奈央を横目に、氷で薄くなったXYZを飲みほし、鞄から財布を取り出した。
「もう帰るの?」
注文をもらって帰ってきた奈央にうんと頷くと、清算をして店を出る。
腕時計を見ると1時過ぎ。
「タクシーで帰るか」
すでに終電の時間が過ぎていたので、由紀ちゃんが向かったタクシー乗り場へと足を向けた。
12月の冷たい風が頬をなでる。
首を竦めると、早足で歩きだした。