サナギとセカイ
けどよ、人生そう甘くはねーわな。


知ってるか?

高ければ高いほど、地面に叩きつけられた時痛いんだよ。

スゲー痛ェんだ。



私は身を持って嫌っつーほど教えられたよ。

それも、スゲー楽しみにしてた大学三年の学祭のステージの上でな。



私は、倒れたんだ。

何の前触れもなく。

突然全身から力が抜けて、ふらーってな。


突然の事に周りもびっくりしてたケド、一番驚いてたのは私だった。


だって、そうだろ?

今までギター鳴らしてた指は動かねーし、叫んでた声は出ねーし。

つーか、それどころじゃねえよ。

だっせー格好で倒れたまま、立ち上がることも出来ねーんだぜ?

だせーだせーって、茹で蛸になってたよ。



仲間の音も、観客の歓声も遠い。

ただ、頭の中で音が響いてたなぁ。

ガラガラ…って、何かが崩れてく音がさ。



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