サナギとセカイ
脳だか心臓だかが、致命的に悪いらしいケド、詳しいコトは知らない。


だって、そうだろ?

知ってたってどうしようも無いんだ。

不治の病ってんだから、どこが悪かろうが一緒だよ。

原因が脳だろうが心臓だろうが、何も変わんないっつーの。


結局の所、死に至る。




同時に、熱くなっていた何もかもが、私の中から消えていった。





だから余命の宣告を受けた、その翌日。

私は仲間を集めて、夢は諦めると告げた。

指も声も問題無かったけど、諦めた。


あと五年。

いや、きっちりあるかも分からない。

そんな現実に引き摺り堕とされてさ、愚かなプリンセスは夢から覚めちまったんだな。


冷静になったんだ。

私達の実力じゃプロには到底届かねーって。

確かに、私達のパフォーマンスはそれなりのモンだったよ。


けどさ飯食ってくつもりなら、それなりじゃ駄目なんだ。



だから、諦めた。



当然っつったら当然なんだけど、何度も殴られて、散々罵詈雑言浴びせられちまった。

で、最後は皆に泣かれた。



そんな中で、私は一人白い天井を見上げて、何も湧いてこない心があるのを自覚していたんだ。


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