サクラミチ。
「・・・・そう」

(そうだったんだ。あの噂は、嘘だったんだ。)

鈴夏は、少しほっとした。

「オレ初めて心から誰かのこと好きって思えた。それが星さんなんだ。・・・あんなに心があったかくなるの初めてだった。こんな奴いるんだなって思った。」

さっきの笑顔から変わって真剣でまっすぐな目になる日向。

「…ありがとう。でも、こんな地味な女じゃ、日向君がかわいそうだよ…いじめられちゃうし…」

鈴夏が下を向きながら言った。
そして、わざとらしく笑ってみせた。
すると、日向は小さな笑いを打ち消すように笑って言った。
強い口調で…

「前にもいったろ!見た目なんて関係ない。
オレは、お前が好きなんだ!!自分にだけは、嘘つきたくない。
もし、お前をいじめるやつがいたらオレがぶったおすカラ。」

顔は自分と同じくらい真っ赤で・・・。でも、自分みたいに逃げていない強さが伝わってくる。
涙があふれてきた。
それは、いつもの悲しく冷たい涙じゃなくて、温かい涙…

「わたしね、ずっと前から日向君のこと好きだったの。
でも、わたし暗いし、がり勉だからって
自分の気持ちから逃げてた…自分に嘘ついてた。
そんなとき、らくがきで心の中の言葉全部書いて。楽しくてたまらなかった。自分じゃないみたいに感じたの。」
< 9 / 50 >

この作品をシェア

pagetop