妹系男子。



D組の前まで来た

扉に手をかけると
何故か胸がざわつきます


……風邪ひいたかな

慣れないことなんてするもんじゃない
俺は生粋のほうき派なんだ



少しだけ躊躇ってから
勢い良く扉をスライドさせた

ほら、勢い程大切なものはありません



―――



―――



―――



『…さない……るさない…』


嗚咽ともとれる
不確かな声が暗い教室に響く

もう日は暮れていた



………



………



こういう科学的根拠に乏しい事象は
頭っから信用しない性格です



『……っくん………りん…た…』



リン「ひいぃいっつ!」

今度は大きな声がこだまする
俺は情けない音を漏らした


強がってなんかいられない
本当はホラーもオカルトも大嫌いだ



……てか
今の声、俺を呼んでいた様な


不思議な衝動に駆られた俺は
何故かこの時

入った扉に引き返すでもなく
電気を点けるスイッチの場所へ走った




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