プリンセスの条件
顔がグシャグシャになっても。
どんなに周りが振り返って見ても。
涙は止まらない。
「マイは……そんな女じゃねーよ」
「え?」
「マイは、男を手玉にとれるほど器用な女じゃねぇ」
「翔太……くん?」
「……何も知らないくせに、マイを侮辱するな」
普段はとても穏やかな翔太が、
絶対女の子に怒ったりしない翔太が、
あたしのために声を荒げていたことなんて……
あたしは気づきもしなかったんだ。