プリンセスの条件
「愛してる」
「翔……太……」
ポロポロと涙がこぼれて、また酷い顔になる。
「ほら、マイも言って」
涙を拭ってくれる翔太の指に、キュッと自分の指を絡めた。
「翔太は……あたしの男」
「そうじゃないだろ……」
呆れたように笑いながらも、翔太はもう一度あたしにキスをした。
まだ寒い冬空の下。
ビュービューと冷たい風が吹きつけているけれど。
あたしの周りにだけ暖かい風が吹き込んでいるように、身体の芯から熱くなった。