SHINING
カメラマンの声よりも

「恵理奈…
今度二人で飯でも食い行くか?
どこに行きたいんだよ?」

その後ろから真っ直ぐに
恵理奈を見詰める皇紀の声が
スタジオに響き渡っていた。

「えっと…」

「何でもいいぜ?
恵理奈の好きな物教えろよ!」

最初こそ固まっていた恵理奈も
皇紀の巧みな話術に落ちて
いつしか撮影を忘れていた。

「そういやお前…
あいつとどこまで行ってんの?」

音と煙が上がりそうな勢いで
顔を赤くする恵理奈を。

「へぇ〜成る程ねぇ」

皇紀が口を鳴らして冷やかした。

「違っ違うの!」

「何が違うんだよ?
俺は別に何も言ってねぇだろ?」

顔を押さえて踞った恵理奈に。

「顔隠すってことは認めてんじゃねぇかよ!」

空かさず皇紀が挑発する。

「あいつも其処らの血気盛んな…くそガキと同じかよ」

「違う!皆に認めて貰いたくて…皆の力に為りたくて頑張ってる」

皇紀を睨み上げるが。

「ふ〜んあいつ庇うんだ?」

「庇ってる訳じゃ…」

直ぐに目線を下げてしまう。

「あいつは何にも言わねぇだろ?不安になっちまうよな?
でもあいつは正直な奴だからな。身体中で会話する野生児並だ」

目を逸らすことなく
見詰め続ける皇紀に
恵理奈も見詰め返す。

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