SHINING
下準備…
恵理奈の前方には両手を無造作にポケットに突っ込みゆらゆら歩く慶吾の姿がある。

少し前までの恵理奈なら傍に駆け寄って行ってしまうところだが。

あの楽屋での未遂以来二人になるのを避けていた。

慶吾への気持ちは変わってない。

その証拠に慶吾の姿を捉えたまま一瞬も目を離すことはなかった。

高鳴る鼓動も締め付けられる様な胸の痛みも何一つ変わらない。

ただ恵理奈は戸惑っていた。

慶吾の態度は好意から来るものか思春期特有の好奇心からなのか。

抑えきれない衝動に身を投じただけでシチュエーションさえ整えば相手は誰でも良かったのかもしれない…。

それが恵理奈の中でわだかまりとして渦巻いている。

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