まいひーろー

「うわ。ここ俺が知ってるなかで一番多いな」


相沢くんの言った通り、"プリクラコーナー"と天井からぶら下がった看板の向こうには、1,20代のプリクラを撮るであろう機械が並んでいる。
その中で、キャアキャアと騒いでいる同じくらいの女の子たちが騒いでいたり、大学生ぐらいのカップルがいたりと、結構人もいっぱいいた。


「どれにする?」

「えっ…わ、私はなんでもいいよ。」



というよりは、選べないと言ったほうが正しい。



「俺も正直プリクラとか撮ったことないからなぁ」

「えっ………」



思わぬ言葉に私は隣に視線が映る。
そこにはおどけたように肩を落とす相沢くんがいた。



「実は、一回も撮ったことないんだよ。というよりかは、機会がなかったっつーか。」


意外だなーと思いつつも、耳を傾ける。手はまだつながったままだ。


「まぁでも、やり方くらいは知ってるけどなー。」

大げさに得意げに言ってのけるのを聞いて、私は笑いを漏らした。
なんだか、褒めて褒めてとせがむ子供のようだ。



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