―黒蝶―
蓮はハッとしたように身体を離し、アタシを見て何かを言おうとした。


「…ゴメン」


最後に謝ると蓮は姿を消した。

アタシは緊張の糸が途切れたのか、その場に座り込んだ。



「…蓮…」



ぽろっと瞳から涙が零れる―

やば。また泣いてる…



でも、何で泣いてるんだろう?

悲しくもない、怖くもない…

なのになんで?


「っつ!」


アタシは突如、胸の痛みに襲われた。

発作だ。どうしよう、薬は部屋だ。でも、戻る力がない…


「…はあっ、はあっ」


アタシは必死でケータイを出して、秋葉のケータイへと電話する。


でも、出るはずもなく―


< 34 / 150 >

この作品をシェア

pagetop