此処から先、晴天なり
「ありがとう金谷さん、また来てくださいね」


あの日、あたしは23歳だった。


今から15年昔の話。


松阪は愛宕町


小さな小さなスナックで、あたしはアルバイト兼チ−ママとして働いていた。


二十歳で結婚して、二十一歳で出産。


娘の博愛((ひろあ))が生まれて、そのあと離婚。


昼と夜を掛けて働いていた。


その夜の仕事が、この戯れ事のような昔話の舞台になる。
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