幸せの条件
 次の日、夏子と私は、夕食を一緒にとる。

「すごっ!!ここって人気ありすぎてなかなか予約できないんだよね!」

興奮状態の夏子に私は、少し落ち着くよう言った。

「うまっ!!」

個室でよかったと夏子の様子を見て思った。

「そんなに喜んでもらえると思わなかったから奢ってよかったわ。」

私は、ゆっくり箸を運ぶ。

「で、さくらさんの話なんですけどあたしはさくらさんに同感です。」

「そうよね。結婚式を挙げないなんて・・・。」

「初めての共同作業だし。」

「そうそう。結婚式には女の子の夢と憧れがいっぱい詰まってるのよ。」

夏子が手を叩いて笑った。

「でも、さくらさん、気をつけてね。」

夏子がちょっと出た涙を拭きながら言う。

「ゴールじゃなくてスタートだから。夢の終わり、現実の始まり。結婚はどこまでも続く頑張りと一生懸命の積み重ね。」

夏子が日本酒を一気に呑んだ。
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