幸せの条件
 9月になった。

私にはいつもの朝だったが、会社は違った。

掲示板の周りに人が集まっていた。

珍しい。

私は、人垣をかきわけて掲示板に近付く。

1枚の紙が貼られていた。

季節外れの人事異動の通告だった。

私は、名前を見て思わず叫びそうになった。

そこには孝太郎の名前が書かれていた。

とりあえず孝太郎と話をと私は、孝太郎を探す。

「こうちゃん!」

自動販売機の前のソファに座り、缶コーヒーを飲んでいる孝太郎を見つけた。

「こうちゃん!!」

私は、駆け寄る。

「おはよう、さくら。見ただろう?転勤だ。」

「なんでこうちゃんなの?」

「俺が聞きたいよ。」

孝太郎は、空き缶を乱暴にゴミ箱へ投げる。

「詳しい話は今夜しよう。」

孝太郎が私の頭を優しく撫でた。

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