幸せの条件
 「1人は危ない。送るよ。」

私は、振り返った。

「遠慮しますわ。長谷川さんに送ってもらう方が危険ですから。」

再び私は、歩き出す。

直之が早足になり、私の前に立ちふさがった。

「さくらさん、運命って信じますか?」

私は、無視して直之の脇を通る。

「僕は信じるタイプです。」

私と並んで歩きながら直之が喋る。

「さくらさんにはその運命を感じました。結婚を前提に僕とお付き合いしてくれませんか?」

私の足が止まる。

「2時間・・・3時間前に私たちは知り合ったばかりですよ?」

「だから、運命なんです。」

私は、ゆっくり体を後ろに向けた。

笑顔の直之がいた。

「・・・少し考えさせてください。」

私は、それだけを言うと駅へ走った。

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