幸せの条件
 直之の手が私の髪の毛を掴み、床に叩きつける。

立ち上がった私に直之が手を振りかざした。

私は、反射的に顔を両腕でかばった。

私のおなかに鈍い痛みがはしった。

立っていられず、私は、再び床に倒れる。

「バカにしやがって!バカにしやがって!!」

倒れた私を容赦なく直之が蹴り続ける。

私は、歯を食いしばってひたすら耐えた。

私が抵抗しないことにつまらなくなったのか直之の動きが止まった。

無言で自室に向かう。

ドアが開く。

ドアが閉まる。

鍵が掛かる音がする。

私は、ゆっくり体を起こす。

言葉の暴力はまだ許せた。

でも、手を足を使う暴力は許せない。

離婚したいと言ったが、暴れるだけで話し合いにならない。

だけど、負けない。

絶対に離婚する。

私は、下唇を噛み締めた。
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