幸せの条件
　金曜日は薫に誘われ、小百合と３人で仕事後、食事に出掛けた。

土曜日は半日だけ仕事をし、マンションに帰った。

ソファに座った私は、両手を顔に当てる。

涙が出ないどころか疲れきっている自分自身がおかしくて笑いが込み上げてくる。

携帯電話の着メロが鳴る。

返信メールを作成中に直之が帰ってきた。

慌て携帯電話を隠し、玄関に向かう。

｢・・・おかえりなさい。｣

直之は、私の脇を通り、すぐに自室に入る。

旅行用の鞄を持って出てきた。

｢会社に泊まる。｣

それだけ言うと直之は、出ていった。

私は、呆然と立ち尽くしてしまった。

中途半端な１人の時間。

中途半端な自由な時間。

あまり嬉しくない・・・。

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