桜の木に「こんにちは」
私は、校内を隈無く探し回った。
そして、桜の木の目の前まで来た。

「枯れてる………」

そう呟いて、桜の木に触れると、枯れたはずの桜の木から、花弁が降ってきた

「春人君………」

私が、春人君の名前を呼ぶと、桜の木が桃色に光った。
優しくて、暖かい光………
そして、

「春人君!?」

透けてる?
目の前に現れた、春人君の姿は透けていて、触れれば通り抜けてしまいそうだった。

「本当は、こんなことしちゃダメなんだケド」

そう言って、苦笑する。

「なんで覚えてんだよ?
俺のこと………」

春人君は、頬を膨らませ腕組みをしながら私を見つめる。

「愛の力?」

私が、頬笑みながら言うと春人君が吹き出して笑う。

「ははっ!!そうだな………」

うそ………
ダメだよ!!
やだよ!!
春人君は、足の方から徐々に消えていく

「やだ!!ダメ!!」

春人君は、消えていく自分の体を見て頬笑む。
私は、泣き叫ぶ。

「最後にありがとう………
じゃぁな?瑠季………
愛してるよ………」

春人君の姿が消えた………
最後に、そんなこと言うの酷いよ………
私は、泣き崩れた

でも私は、どうして泣いているのか分からなかった。
ただただ、涙が溢れて止まらなかった。


私の中から、春人君の姿が消えたんだ………

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