ずっと前から愛してる






「健気だねぇ」



お風呂から上がった理人が
あたしを見て冷やかすように、
でもどこか冷たく言った



「嫉妬されなかったぐらいで
いちいち態度変えてられないの。
いきなりお弁当作らなかったら
直樹、困るでしょ」



もっともらしい正論かまして
理人との会話を終わらせたかった


いつ自分が理人に
弱音を吐いて泣きつくかわかんない


それなら弱いところを見せないで
自分だけで解決したい




「…ま、頑張れや。」



数分あたしの近くに
立っていたあと
ふいっと自分の部屋へ戻っていった








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