君は変人
「お化け屋敷の中は二人ずつということになりますので」という、係員の指示で俺と玲菜、桜と浅川に分かれた。

一番妥当な選択だと思う。

最初は男子と女子で分かれるという意見も出たのだが、お化け屋敷に同性と入るというも、やや抵抗があり、桜と玲菜をくっつけることはさまざまな問題が出てくるわけで、このメンバーになったのである。


「よし、ゲン!!
お化け屋敷、楽しもうっ」

「おう、そうだな」


俺と玲菜は仲がいい。

というより、玲菜は大抵の男子と仲がいいのだが。

でも玲菜の気さくな性格のおかげもあり、俺たちはお化け屋敷の中でも笑いが絶えなかった。

お化けがいきなり出てきて、きゃっと言い抱きついてくる玲菜を想像したが、俺よりも怖いのには慣れているようだった。


「ゲン、何気にびびりだよね」

お化け屋敷を出て、自動販売機で買ったコーラをごくごくと飲みながら聞いていた。

「俺は、見かけによらずチキンだぜ」

これは本当だ。

体格はいいが、根っからのガキ大将というわけでもない。


「川さんたち、大丈夫なのかな?」

手に持ったオレンジジュースの缶を強く握りしめて、玲菜は言った。

「どうだろう。
あいつら、二人とも不思議だからな」



そんな心配をよそに、案外浅川と桜は普通に出てきた。

だけど、俺には少しだけ二人の肩の距離が近づいているような気がした。

そして何より、浅川の無表情な顔がいつもより綻んでいた。


観覧車に乗ったこともない桜は、
俺にとって親友という存在になるのだが、
これはまだまだ先の話で、
だけどわがままで強情な桜を憎めないのは、確かだ。
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