君は変人

中2五月―スー―


「ねえ、何か変じゃない?」

隣にいるゲンは、楽しそうに話す桜と川さんに視線を移した。


「確かに。何か、仲いいというか変な雰囲気だよな」

変というと、マイナス的な言葉に聞こえるだろうが、あたしとゲン的にはいい意味の方だった。


「あの二人って、どこか人と接するとき距離置くじゃん?
でも、今のあの二人の間には壁がない感じがする」

「なあ、玲菜は浅川の気持ちには気付いてるのか?」

今の話と特に関係のない、まあないわけでもないのだが、そんないきなりの質問にあたしは返答が遅れる。


「まあ、一応一年間は一緒にいるし、見てれば大体はね」

「相談とかは受けてないのか?」

ゲンは珍しく小さな声でこもり気味に言った。

不審に思いながらも答えた。


「一回もないなあ」

ゲンが顔を強張らせながら、考え事をしているようだった。


「本当はさ、俺と付き合ってくれたのは浅川のためなんじゃないのか?」

何て返答すればいいか分からず、あたしは黙ってしまう。


「そりゃあ、俺的には付き合っててほしいけどよ。
だけど、浅川たちは多分大丈夫だと思うぜ。最近いい感じだしな。
だから、もしも浅川たちのためなら別にいいぜ。
俺はやっぱりお互い好き同士で付き合いたいし」


ゲンの真剣な顔見るの久しぶりだな、としみじみする。


「ばーか。ゲン、あたしより頭いいのに馬鹿だなあ」

軽くゲンの肩を叩いた。

「俺は真剣なんだぞ」


あたしの両手をゲンは強く掴んだ。

ドラマの一場面みたいだ。


「ねえ、あたしたちもう付き合って一カ月だよ?
あたし一カ月も続いたの初めてだよ。嫌になったらすぐふっちゃうし。
だからさ、ゲンはあたしに好かれてるっていう自信もう少し持てば?」
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