不器用な僕等の唄を

桔梗がこっちに手を振っている。

「茉莉!お姉ちゃん!」

テンションが上がっているのか、少し高い声。

あたしも、手を振り返した。

「あんたがあたしを“優しい”って言うんなら。それは“臆病”の間違いね。」

トーコさんは、独り言のように言うとヒロナさんの方に歩き出していた。

あたしは時間と共に大人になっていく。

そして、誠との恋も学生時代にした恋のひとつとなっていく。

今日、アドレスを一件消去した。



途端に、空に花火が上がる。

隣に来た桔梗と奏が感嘆をもらす。

夜空の花が咲いて、散った。





夏が、終わっていく。




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