不器用な僕等の唄を

音宮の悪口を例え、芸能人が言ったとしても総理大臣が言ったとしても、透子は暴れる。

あの細い腕で椅子を投げて何枚か窓を割った。
原因の男子にも怪我を負わせて。

それ以上に腕を深く切った透子がいた。

いつもいつも学校や私服で長袖を着ているのは、その傷を見せたくないから…だと予想する。

「…透子ちゃんと紘波は仲良しだよね。いつからバンドやってるの?」

アザラシの格好を止めてこっちを向く野田ちゃん。

「中学二年くらい。」

「すごい。じゃあその時から、雪比良もギター弾けるの?」

頷く。



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