不器用な僕等の唄を

口を割ってきて、舌が入る。
行き場のなくなった手を掴まれて、絡まれる。

「…ん、あ。」

学校で、しかも第3音楽室で。

「だ、ダメ。流せ、」

暖房のついていない音楽室は寒くて、言ってることとは裏腹に熱を求めてしまう。

「何が?」

「何がって…や。」

首筋をなぞられて、ピクリと体が反応する。

それが面白いのか流星は首筋を執拗に舌を這わせてくる。

「…盛ってんねぇ。」

呆れたような声がした。

それは私や流星からではない。

「…っ。」

開いた入り口に立っている紘波だった。



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