不器用な僕等の唄を
花火のユニゾン。




ちゃらりん、とお気に入りの受信音が鳴って携帯を開く。

誠(マコト)からのメール。

あたしの彼氏、誠はふたつ上の学年で。

ここじゃない、陸上で有名な高校に通っている。

…少し離れた都会の。

メールを見てみれば、そこには唇を結んでしまいそうな文字の羅列。

『ちょっとキツい。』

会いたい。
会えない。
でも、会いたい。

会って、誠の頭をギュッと抱きしめて。

『頑張って。応援してる。』

そう、文字じゃなくて言葉で。

機械を通さない声で、言いたい。



< 76 / 310 >

この作品をシェア

pagetop