濡れた体温ごと奪って
「母親はなんて言ってんだ」
「…返事…してないって……迷ってるってっ……っ…どうして…迷うの……やだ……っ…ぅ…」
「…紗耶」
紗耶は小さく肩を震わせながら必死に言葉を発してるのが伝わる。
目に溜めていた大粒の涙が紗耶の頬をつたって流れる。
手で一生懸命に大粒の涙を拭うが、拭いきれない程泣きじゃくる紗耶。
あのクソ野郎もそうだが…母親も母親だな。
気が付くと俺は紗耶を抱き寄せ強く抱きしめていた。