濡れた体温ごと奪って


私、お母さんには…大丈夫だって、私の事は気にしないでって言ったけど…。


でも…祝福は…出来ないんだ。




「…私…どうしたらいい?祝福なんて、出来ないよ…出来ない…」


「無理に祝福する必要ないだろ。形だけでいいんじゃねぇか?」


「……うん…そうだよね…」


「…紗耶」




翔ちゃんは大きなごつごつとした手で私の手をそっと握る。


私はただただ翔ちゃんをじっと見つめた。


いつもとは違う真剣な眼差しでじっと私を見つめる翔ちゃん…。


…どうしたの?



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