素直に優しく―360日の奇跡―





「付き合う?」


「………嫌だし。」


「はい、却下。」




やっぱり素直じゃない私を見越したようなシンに小さくため息を吐き出した。

ザーザーと流れる水道の水からシンに視線を戻して、意味なく睨みつけてみた。




「俺はヨリが好き。ヨリは俺が好き。だったら問題なんかなんもないだろ?」


「……強引すぎない?」


「これくらいしなきゃヨリは素直になんないだろ?」




たった三ヶ月、その期間で私を私より知っているシンにもう笑うしかなかった。


確かにシンに言われた通り私は今のままじゃ素直にはならない。


でもシンには嘘を付けてもそれはすぐにばれてしまうんだ。




「――…シンなんか嫌い。」


「知ってる。」


「嫌い……じゃない…」


「それも知ってる。」




精一杯の強がりをちゃんと受け止めてくれる。


精一杯のあまのじゃくをちゃんとわかってくれる。




「――――…好き…。」


「俺も好き。」




だから素直になるよ。


ちゃんとわかってもらえるように。

ちゃんと気持ちを伝えられるように。





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