剣と日輪
 と回答してくれた。
「そうか。本とに?」
「嘘は嫌いどす」
「そうか。やっていけるか」
 公威は喜色に溢れた。威一郎の頭を摩(さす)り、
「御前は俺の跡取りだ。いいな」
 と念を押して離した。
「うん」
 威一郎は落ち着き、ぱくぱくとお子様ランチを食す。
「これで大丈夫だな」
 公威はそうごちた。自分に懸命に言い聞かせている様であった。
 翌朝平岡一家は八重さんの案内で松茸狩りに出掛け、松茸を手土産に再び新幹線の車中の人となったのだった。
「又来ようね」
 威一郎の要望に、公威は、
「ああ」
 と生返事をし、暫し瞼を閉じたのだった。
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