剣と日輪
 翌十一月三日文化の日。五名は六本木のサウナ、
「ミスティ」
 の休憩室で会合を持った。サウナから上がった休憩室でドリンクを飲みながら、公威は小川、古賀、小賀を口説いた。
「最終計画は初めの第一歩である。ここで五人全員が自決しても無意味だ。連隊長が武士ならば必ず人質になった責任をとり、自決するだろう。その連隊長を無事部下達の許へ送り届ける役目の者が必用だ。小川、古賀、小賀の三名にはその役目を果す事を命ずる」
「それはどういうことですか」
 古賀は不服そうだった。
「全員死んだら、介錯は誰がやるんだ?」
 公威は押し切ろうとした。
「森田の介錯を、なるたけ痛みを感じぬようすぱっとやってやってくれ」
 間髪をいれず森田が、
「俺達には死生の境はない。俺達は常に一緒だ。何れ又何処かで会える。後を頼む」
 必勝と公威は、三人に平身低頭した。
「分かってくれ。生きて志、特に森田の志を継ぐ者が必要なのだ。御前達しかいないんだ」
 三名は顔を見合わせた。
(既に身辺整理を終えつつあるのだ。今更)
 と反論したかったが、公威と必勝に熱願されては、否とは言えなかった。
 渋々受諾せざるを得ない。
 公威と必勝は、
「これで憂いなく腹を切れる」
 と安堵し、五名は再結束したのだった。
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