剣と日輪
 という使命感の間で迷夢していた。だが、答申は先程弾き出されているのである。公威は護国の鬼となるべき進路を失った。その虚脱感に打ちのめされている吾(ご)身(しん)を嘲笑していた。
(所詮、俺は英雄の器じゃないのさ)
 公威は梓に促されると、加古川線の青野ヶ原駅へ、とぼとぼと歩み始めた。足元に転がっていた半咲きの白梅の小枝を踏んで真っ二つに裂いた公威は、閉ざされた儚(はかな)く清(せい)猛(もう)な道を想った。そして歩趨(ほすう)を進めたのである。
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