図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】

二人は走った。

蓮は二人分のブレザーと美優のカバン、そして美優の手を引いて。

廊下を突き抜け、階段を下り、校舎を飛び出した。


「ま、待って・・・・・・もう・・・・・・」


美優の足がもつれる。

蓮は足を止め美優の体を引き寄せた。

美優が肩で息をする。

蓮の胸の中で。


「歩ける?」


どこまでも甘く優しい蓮の声に美優は小さく頷いた。

そのまま蓮に手を引かれ誰も使わない非常階段まで歩く。

そこに美優を座らせ、蓮も隣に座った。

お互いの顔を確認する。

お互い負けずに顔が赤い。

一瞬の間を置いて二人は笑った。


声を出して。



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