図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
蓮は足早に図書室に向かった。


気になるなら、実際に見てみりゃいーじゃん。


そんな簡単な動機から。


リーンゴーン-・・・。


終わりを告げる鐘が鳴る。

蓮が図書室に着いた時、そのドアが開かれた。


出てくるのは、あの日本人形。

漆黒の髪は背中の真ん中までのび、動く度に波打って揺れる。

その瞳は黒目がちで、肌の白さを際だたせる。

177cmある蓮からみればその日本人形はちいさく160cmにも満たない。

きっちりと着こなした制服。

化粧っけの無いその顔。


蓮の横を通り過ぎる。

瞬間、蓮は息を止めた。

彼女の髪がしなやかに風に舞う。


その日本人形は蓮に目を向けることなく通り過ぎていった。



「はぁ」


蓮は大きく息を吐いた。

酸欠状態の心臓は鼓動を強める。


「びっくりしたぁ」


それが蓮の感想だった。

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