恋がしたくて…
私の塩
甘くて 大好きな キャラメル味。

佐々木さんから受ける 女性としての賞賛は、
しばらく忘れていた、私の中の、『女の喜び』を 刺激する。

その、あま~い声で、賞賛の 言葉を かけられると、
途端に私の 全身は、女になる。

それは、
長い事、母であり、妻でしかなかった 私にとっては、
至福の瞬間であり、
このまま フェイドアウトしていくだけだろう。
と 思っていた私の人生が、
急に 輝かしいものになる瞬間である。

そうして、その 簡単な魔法は、
私から見える 世界の色までも 変えてしまうんだ。



そう。
佐々木さんの 甘い言葉は、
まったりとしていて、口中の香りを変える、
私の 大好きな キャラメルに 似ている。


けれども、佐々木さんの言葉は、それだけではない。


私に気があるそぶりを見せたかと思うと、
何事もなかったかのように振る舞ったりする。

私を魅力的と言ったかと思えば、
妻を 幸せにしたいと言う。


いつだってそうだ。
佐々木さんは、甘い言葉をはいた後に、平気で 私を 落胆させる。
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