恋がしたくて…
子持ちの主婦なんて こんなもんだ。
羞恥心も何もない。
それに、独身の頃のように、
「とりあえず、タイプであろうとなかろうと、男性は男性。女性として、嫌われたくない。」
なんていう、初々しさもない。

けれど その10秒後、私は変わった。

「チケット代。おいくらでしたか?」
と私が聞くと同時に 書類を取りに 立ち上がった佐々木さんは、
「そんなの いらねーよ。」
と 優しく微笑みながら 私の頭を ポンツとたたいた。

立ち上がった佐々木さんが 想像以上に大きかったから…?
それとも、軽く頭に触れた手が 大きかったから…?

いずれにせよ カンタンだった。

主婦なんて こんなもんだ。

ほんとにカンタン。

ようは 結婚以来、男に免疫がなかったって事なんだろうけど…。

その瞬間、『風』が通った。

平和を守る為に変化を恐れ。
空気の入れ替えすらしなかった為に よどみはじめていた私の心という部屋に。
『風』が通ったのが はっきりと分かった。

そして、新鮮で、あたたかいのに 突き刺さるような 外気が 入ってきた。

そう。
私は 恋におちた。

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