涙の宝器~異空間前編
「意識不明で重体の彼女を助けたいんです」
「そうなの。
じゃあこの希望の紙に、理由と彼女の生年月日と氏名を書いてちょうだい」
「はい」
俺はその紙をじっと見つめ続けた。
俺に彼女がいたのか?
俺は名前を書きはじめた。
最後に拇印を押してエントリーを終えた。
………田中麻衣かぁ?
どんな人なんだろう……
意識不明の重体って何があったんだ?
全然思い出せなかった。
俺は全ての手続きを終えて鏡に向かって歩いた。
去っていく俺に、老婆が呟いていた。