お伽話をキミに。
…はい。そうです。
俺は今郁の部屋のベッドの上で、あの日の夜に如月さんから届いたメールを見てます。
一人でも見たんだけどね。
内容は"アドレス教えてくれてありがとうございます"っていう至ってシンプルなものだけど、俺にとっては宝物みたいな初メールなわけで。
もちろん速攻で保護しましたよ。
「…だって嬉しいんだもん」
「…まぁ気持ちはわかるけどな」
そう言って、ベッドの前に置いてある小さいテーブルの近くに座る郁人。
片手にはその辺に落ちてた雑誌を持って、興味あるのかないのかわかんない表情でパラパラと本を捲り始めた。