colors
この時間の駅は、もう人もまばらだ。

夕方の晩御飯の時間帯。

日暮れが早いという事もあって、みんな足早に帰宅してしまっている。

駅のホームの灯りだけが、コートとマフラーで完全武装した寒空の下の俺達を照らす。

静寂に包まれた駅に、俺と華子の二人だけ。

何故だろう。

別に悲しい事なんて何もない筈なのに。

「陽一君…」

華子が寂しくなったのか、俺の上着の袖を引っ張る。

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