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「祐作」

名前を呼ばれて俺は顔を上げる。

目の前に女生徒が立っていた。

髪の長い女。

既にコイツも帰る準備をしているらしく、首にはマフラーを巻いていた。

「何だよ、梓」

俺はジト目でその女を睨んだ。

昨日、些細な理由で口論となり、教室で盛大な喧嘩を繰り広げたばかりの鳴沢梓。

大体コイツとは、同じクラスになった時からソリが合わない。

何かにつけて喧嘩ばかりしていた。

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