snake in the grass
≪Ⅳ≫

「この本なら何か解りますかね?」

美月は『村のヒストリー』という分厚い本を潤の元へ持ってきた。

「どれどれ、、、」

潤は本を受け取ると直ぐに読み始めた。



今から50年程前、この村で次々と女性ばかりを狙う殺人事件が起きた。

当時、村の警察は目撃情報を基に捜査を行った。

しかし驚くべき事に犯人は吸血鬼だった。

正体がバレてしまった吸血鬼は身の危険を感じ、外部への情報の洩れを恐れ警察を1人残らず殺し、村人達に脅しをかけた。

『外部に情報を洩らす者の命は無い。お前等を視ている』

それから村には警察と言う組織が無くなり、吸血鬼に脅える生活を余儀なくされた。

満月が闇夜に浮かぶ日は必ず村の若い娘を生贄として吸血鬼に捧げる決まりがあった。

当時15歳だった少年は吸血鬼に反撃し、森の奥深くにある協会の棺桶に封印したという。



「上村さんが傷口を見て脅えた理由が解ったぞ」

潤はパタンと本を閉じる。

「吸血鬼の封印が解けて今回の事件が起きたって言うんですか!?」

納得できない美月は反論する。

「そんな事ある訳無いじゃないですか!それに吸血鬼なんて神話の世界だけですよ!!」

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