白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~




それから、漬物屋さんで漬物の試食をしたり、八つ橋の試食をしたりして・・・・・・



食べないって言っていたことも忘れて、たくさん食べちゃった。





でも、旅って不思議。


お腹が減るんだよね。




トロッコ列車に乗って、紅葉を眺めていると、私も先生もまたお腹が減ってきた。




「幸せだから、腹が減る。な~、そうだよな、直」




いつものセリフ。



私もそう思った。



楽しいから。


幸せだから・・・・・・だね。






トロッコ列車の近くの席に、高校生らしきカップルが座っていた。



きっと、学校で一番人気なんじゃないかと思うようなかっこいい男の子とかわいい女の子。



まだ初々しくて、照れながら話す姿がかわいい。





私の視線の先に気付いた先生。



「多分、付き合って1カ月ってとこだな」



小声でそんなことを言う先生に、



「3カ月くらいじゃない?」と答える。



「いや、あれはまだキスしてねぇな」


なんて先生は笑う。





「こういうデート、させてやりたかった・・・・・・」




急に真面目な顔になる先生。





窓からの風で髪がなびく。



先生の切なそうな横顔に、胸が痛くなった。









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