Last Sound
直談判
【コンコン】
ぶ厚そうな扉をノックして
「失礼します」
と一言言ったエトーが校長室に入る。
「あの、少しお時間、よろしいでしょうか」
扉の向こうでそんな声が聞こえる。
「ああ、工藤先生。
どうかしたんですか?」
「あの、実は生徒たちが校長先生と話がしたい、ということで連れてきたんですが、大丈夫でしょうか?」
少しの沈黙。
どうしてそこで渋るんだ、校長。
俺たちの話を聞くくらい、なんてことないだろ。
「分かりました。
どうぞ、入ってもらってください」
俺たちは扉の前で制服の乱れを直し
「失礼します」
そう言って初めて校長室に足を踏み入れた。