好きだと言いたい

この家にデッキはリビングにしかない。

だから2人でリビングに行き、DVDをセットする。


自分と彩花さんの分の飲み物を入れて一緒にソファに腰を下ろした。



チラリと彩花さんを横目で盗み見ると既にライブ映像に夢中になっている様子。


俺も何くわぬ顔でそれを見ているが、本当はさっきからずっと心臓が痛いくらいに波打ってる。



彩花さんが俺に近い位置に腰を下ろしたため、肩が触れりそうになってしまう。


彩花さんが動く度に茶色のキレイな髪が揺れ、微かにいい香りが俺の鼻をかすめてく。



兄貴はこの香りに何度包まれたのだろうと考えると、とてつもない嫉妬心が心の奥底から湧き出てしまいそうになる。



こんな気持ち消えてしまえばどんなに楽か…


望みなんてないのに。


それでも彩花さんが好きだと俺の中の俺が悲鳴を上げるんだ。


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