紳士的なLady
「は……?早川、何言ってんだ……」
架月は、私の上で千波に対して問いかける
が。
「聴こえてないの?さっさと剣ちゃんから離れろって言ってんの」
笑みを絶やさずに、声のトーンも変えずに、千波は言う。
「……ち、千波。これはさ、抱きついてるとかそういうのじゃなくって……」
私の苦し紛れな言い訳は、途中でプツリと切られる。
「架月くん、これ、何だと思う?」
「……知るかよ」
千波が右手に持っている物を見せる。
千波の手のひらに収まる小さいそれは、千波の武器である、携帯電話。
さっきよりも楽しそうに、無邪気な笑顔を浮かべて、ボタンを押す。
『ピッ』と、機械音が保健室に響いた。