紳士的なLady



驚いた表情の架月。


しかし、それはすぐに一変する。



「やっぱそう言うと思った」

「え?」

「満原に今聞いても、返事返って来なさそうだし」





自嘲気味に笑い、机に腰掛ける。




「でも」



ふと思い出したように、言葉を繋げていく。



「俺、結構妬く方だから」



それだけ言うと、鍵を開けて、さっさと外に出て行った。







何。今の。




『妬く方だから』




この漢字で合っているのだろうか。



「何、それ……」





私ばっかり色々気にしすぎてて。


「ムカつく」と思っていた頃に、こんな言葉をかけられて。








「ずるいよ……。こんなの……」



一度座り込んでしまうと、なかなか立ち上がれない。

顔が真っ赤な理由を、何て説明すれば良いやら。


頭を抱え込んだまま、掃除時間の15分はあっという間に過ぎてしまった。









*苦悩カルテット*


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