紳士的なLady
ここでは絶対泣かないし、走って逃げたりもしない。
そんな風に考えている時点で、私はもう弱虫決定。
……最悪だ。
袴の裾が、階段の埃で薄っすらと白くなっている。
それさえも、気にならない今日の私は、どうかしてる。
本当だったら、千波を気が済むまで問い詰めたいし、理由次第では引っ叩くかもしれない。
でも、出来ない。
千波は大切な友達だと、まだ何処かで思っているから。
なのに。
余計なお節介を焼かれて。
それに踊らされている私。
そして、架月。
これが嫉妬だなんて云う感情だと、思いたくない。
嫉妬じゃないと、嘘でもいいから、思っていたいのだ。
認めたくない。