紳士的なLady
「くそ……ッ!何で今そんな顔するんだ……!」
「え?何か言った?榊」
笑いすぎて何も聴こえなかった私は、榊に訊く。
「何でもない!!」
「いや、絶対今何か喋ったでしょ。私に何か言ったでしょ。ねぇ、何て言ったの?」
「何でもないと言ってるだろうが!!」
「あー!もういいよ!何で怒るの!」
逆ギレされ、訊くのが面倒になってしまった私はすぐに諦めた。
見ると榊の顔は真っ赤だ。
「榊?熱……じゃないね。大声の出しすぎじゃない?顔真っ赤だけど」
「知るか!!」
そう言って、繋いでいた手を離して自分の口元に持っていく榊。
その態度に少しだけムカついた。
さっきまで甘えていたのか知らないけれど、手を離してくれなかったくせに。
面倒臭い、榊のくせに。
「あ、そう。なら私部活に戻るから。じゃあね」
そう言って、さっさと歩こうとしたその瞬間――。
「行くな」
後ろに腕を引かれて、
後頭部に、何か温かいものが触れていて。
私の胸元は、ぎゅっと締めている両腕。
その状況がやっと分かった時は既に遅くて。
私は、榊の腕の中に居た。