紳士的なLady
その言葉を聞いて、私は笑う。
「ありがとう」
面と向かって、架月にお礼を言う事なんて、無かったのにな。
それだけ、私が架月を信頼してるのかもしれない。
「俺も、守ってやるから」
ふわりと優しく笑い、その目で私をじっと見る。
「私だって、守るよ。千波も、鈴音も、架月も」
声に出して言うと、やっと踏ん切りがついた。
私も、強くなれるはず。
優しく、守れるはず。
「分かった。ありがとな」
その言葉を聞き、私は走って出口へ向かった。
千波の所へ行こう。
身体に傷は無かったものの、千波には深い傷が残ったんだ。
相手が誰であろうと、決して癒えない、傷。
私じゃ癒せないと思うけど、傍に居る事は出来る。
「絶対、私が守るからね……」
小さくそう呟き、私は走るスピードを上げた。